私が開業して今年で10年が経ちましたが、整骨院を経営したのは1年で、「やめる」決断をしました。
現在は、整体とピラティスを組み合わせたスタジオを経営しています。
10年で保険診療から自費診療への変更、5年目にはスタジオの移転と0からの再スタートも経験しました。
この記事では、柔道整復師の私がなぜ、ピラティススタジオで10年選ばれ続けてきたのか?これからピラティススタジオの開業・ピラティスの資格取得を考えている医療系国家資格者の方へ、私の成功も失敗も包み隠さずお伝えします。
目次
開業からピラティスと出会うまで
正直、最初から順調だったわけではありません。なぜ、整骨院の経営からピラティススタジオを開業したのかお話しします。
整骨院としてスタート、そして1年で業態変更
柔道整復師の国家資格を取得し、30歳の時に整骨院として開業しました。
ですが、保険診療の限界を感じ、開業から1年で整体院への業態変更を決断しました。
保険診療では、施術の範囲や時間に制約があります。
目の前のお客様にもっと深くアプローチしたくてもできない。開業から1年たった頃、整体院へ業態変更を決めました。
自費診療に切り替えたことで、より深くアプローチができるようになり、一人ひとりの方と向き合う時間をしっかりと持てるようになりました。
手技の限界とピラティスとの出会い
整体院として軌道に乗り始めた頃、手技だけでは限界があると気づきました。
週に1回の整体で筋肉や関節の柔軟性を改善しても、日常生活での姿勢や動きによって身体は元に戻ってしまいます。
大切なのはお客様自身が自分の意思で身体を正しく動かせるようになる方法が必要だと感じ、そんな時に出会ったのがピラティスでした。
ピラティスはもともとリハビリから生まれたメソッドで、筋肉を鍛えることが目的ではなく、身体の機能そのものを改善するエクササイズです。
私が取得したのは、BESJのマットピラティスインストラクター資格です。
BESJは日本人の骨格や身体構造に合わせて設計されており、無理なく機能改善や姿勢改善ができます。
柔道整復師としての経験と解剖学・運動学の知識を組み合わせれば、お客様の日常生活における動きや意識を変えるサポートができると確信し、開業4年目で整体とピラティスを組み合わせたスタジオへ業態を変更しました。
【本音】ピラティススタジオのメリットとデメリット
整体とピラティスを組み合わせたピラティススタジオの最大のメリットは、整体で身体を整え、ピラティスで身体の動きを学習できることです。
整体だけでは身体の動きを学習することはできず、日常生活の姿勢や動きを改善することはできません。
整体はあくまでも身体の動きを整える手段であり、筋肉を鍛えることも動きを学習させることもできません。
整体だけに頼ってしまうと、いつまでも同じ痛みや悩みを抱えたまま時間だけが過ぎてしまいます。
整体で整えた後に、ピラティスで身体の動きや脳を活性化することで日常の動きを変えることができます。
私の考える「選ばれるスタジオ」とは、依存するのではなく自立できるスタジオです。
やってもらうのではなく、できるようになることで1年後の人生を変えることができます。
60代男性のお客様のお話ですが、来店した時のお悩みは「うがいをする時に上を向くと左の背中に鋭い痛みが走る」でした。
来店から1年後、痛みがなくなっただけでなく、前から興味があったサーフィンを始めて、今では毎週海に行っています。
ピラティスで身体の動きを学習することで自分の身体への理解が深まります。その結果、身体の悩みから解放されます。
その反面デメリットもあり、ピラティススタジオを経営する上で大変な面もあります。
それは、集客と差別化です。
この10年でピラティススタジオは急速に増えました。
特に大手の参入によって低価格のスタジオが多くなり、個人のスタジオは価格競争では太刀打ちできません。
大手にはない価値を提供する必要があります。
そして「選ばれ続ける」ためには、差別化を意識する必要があります。
私の場合は、姿勢改善をベースに「5年後、10年後好きなことができるカラダを作る」というコンセプトとともに、短期的なダイエットや見た目だけの変化ではなく、長期的に健康でいられる身体を一緒に作っていくことが私の目指すスタジオのあり方です。
医療資格者の視点:ピラティス指導で活きる解剖学的知識
「ピラティスの資格を取るだけじゃダメなの?」と思う方もいるかもしれません。
しかし、資格取得はあくまでも、スタート地点に立っただけです。
大切なことは、身体を診ることができるかどうか。
ここでピラティスの指導者として大きな差が生まれます。
「なんとなく動く」では意味がない
ピラティスは「動けばいい」というエクササイズではありません。
どの筋肉を使っているのか?どの関節を動かしているのか?呼吸は正しくできているのか?
お客様の身体の癖や代償動作を見抜き、その方に合った指導をおこなう必要があります。
「このエクササイズができるようになりたい」と相談されることがありますが、エクササイズができても身体は変わりません。
同じエクササイズでも骨盤の角度や、意識する関節によって使われる筋肉も目的も変わります。
解剖学や生理学、運動学の知識は身体の動きを見極め、ピラティスを指導する上で欠かせません。
エクササイズを学ぶことも大切ですが、基礎からしっかりと学んだことでお客様へわかりやすく説明できるようになりました。
リスク管理:怪我をさせないための「評価」の重要性
ピラティスを指導する上で、最も気をつけないといけないことは、お客様に怪我をさせないことです。
特に既往歴がある方を指導するときは、エクササイズを始める前の評価は欠かせません。
姿勢評価、関節評価、可動域のチェック、痛みの有無の確認を行った上で、その方の悩みを改善するためのプログラムを組む必要があります。
柔道整復師としての知識と経験があるからこそ、「このエクササイズは今はやめておきましょう」「まずはここから始めましょう」という判断ができます。
この見極めが、お客様の身体を守ることに繋がっています。
これから開業・資格取得を目指す方へのアドバイス

もし過去の自分にアドバイスできるなら、これは知っておいた方がいい、そんな視点でまとめてみました。
まずはここから
開業を考えている方に最初に伝えたいことがあります。
まずは、どんなお客様に、どんな価値を提供したいのかを明確にしてください。ターゲットを明確にイメージすることで、物件の条件や必要なトレーニング器具の優先順位がわかります。
私の場合は、マットピラティスのみでセッションを行うスタイルですが、これも「何を提供したいか」を考えた結果です。
ピラティスと聞くと、リフォーマーなどのマシンピラティスのイメージが強いと思いますが、ピラティスを通して自分と向き合う時間を作ってほしいと思っています。
そのためには、自宅でもできないといけません。
スタジオに来た時だけでなく、自宅でも自分で身体を整えることができるようになることが、私の考える「自立できるスタジオ」の形です。
だからこそ、何も考えずに決めてしまうと取り返しのつかないことになります。
「誰に、何を届けたいのか」を大切にしてください。
資格を取るだけでは経営はできない
厳しいことを言いますが、医療系資格を持っていてもピラティスの資格を取得しただけでは、経営はできません。
「教えるスキル」と「経営スキル」は別物です。
腕がいいから大丈夫という考えは危険です。どんなに知識や経験があったとしても、知ってもらえないと意味がありません。
「マーケティング」「ブランディング」「キャッシュフローの管理」を考えながら、日々お客様と向き合っていく必要があります。
資格取得は、スタートラインに立っただけだという意識を持つことが大切です。その後の行動が大きな差に繋がります。
開業当初の私は、治療家としての知識と経験しかありませんでした。
経営スキルは全くなく、最初の1年は本当に苦労しました。1人目のお客様が来店した時、泣きそうなくらい嬉しかったことを覚えています。
差別化のヒント:医療系国家資格×ピラティス
医療系国家資格を取得しているなら、最大限に活かすべきだと思います。
医療知識に基づいた評価と指導ができることは、差別化のポイントとなります。
例えば、腰痛や産後ケア、姿勢改善に特化するなど、自分の専門やお客様のニーズに合わせたポジショニングを明確にしましょう。
「なんでもできる」ではなく「これなら誰にも負けない」という領域を作ることが選ばれるスタジオへの近道です。
整骨院を開業したときは、「産前産後」の30代の女性をターゲットにしていました。
ターゲットを絞ることで、伝えたいメッセージが明確になりました。
その時の経験が繋がり、産婦人科で妊娠中の方に対してピラティスの指導を担当しています。
最後に
開業してから10年、整骨院から整体院へ、そして整体とピラティススタジオへ、2度の業態変更と移転を経験しました。
辛いことも、もうダメかもしれないと思ったこともありますが、振り返ると全ての経験が今のスタジオづくりと私自身の成長に繋がっています。
10年たった今でも、お客様の「ありがとう」の言葉を聞くと、この仕事を続けてきてよかったと心から思います。
特に、不妊のお悩みで来店されていたお客様から妊娠の報告をいただいた時は本当に嬉しかったです。
最初は、膝の痛みで来店され、旦那さんとの不妊の相談を受け、ご夫婦お二人を担当させていただきました。ご相談をいただいてから4ヶ月目で妊娠され、現在は、安定期に入りマタニティケアを担当しています。
医療系の資格を持ちながらピラティスの資格を検討している方、スタジオの開業を考えている方、この記事が皆さんの1歩を踏み出すきっかけになれたら嬉しく思います。


