トレーナー業界では、二刀流もしくは三刀流インストラクターという新しい働き方が広がりつつあります。
パーソナルトレーナーがピラティスも教えていたり、それだけでなくヨガも教えていたり。
パーソナルトレーニングの知識だけでなく、ピラティスやヨガの知識も取り入れながらセッションに向き合うことで、多角的な視点からクライアントに指導することが可能になります。
かくいうこの記事を書いている私も”三刀流インストラクター”なのです。
この記事では、三刀流インストラクターのメリットをお伝えしていきます。
なぜ、いまパーソナルトレーナーは“複合スキル”が求められているのか?
フィットネスの現場では身体を”作る”というボディメイク一辺倒の時代から、「整える」「感じる」「動きを磨く」ことが求められる時代になっています。
その証拠にSNSを開けばピラティススタジオの広告やエクササイズの動画が流れ、姿勢改善・骨盤ケア・呼吸法など、これまで“リハビリ寄り”とされていた領域が、トレーニングの主流に入り始めています。
一方で、パーソナルトレーナーの数は年々増え、「食事指導+筋トレ」だけでは差別化が難しくなっているのが現実です。
目次
パーソナルトレーナーがピラティスを学ぶメリット3つ
① 身体理解が深まり、クライアントへの価値提供が格段に向上する
ピラティスを学ぶことで、身体を「個別の筋肉」ではなく「全身の動きの連鎖」として捉える視点が養われます。
ピラティスの知識を取り入れることで、次のような機能的な要素を評価・改善できるようになります。
▪️慢性的な肩こり・腰痛 → 痛みの根本原因にアプローチ
▪️姿勢の崩れ → 表面的な矯正ではなく、動きの質から改善
▪️身体の使い方の癖 → 効率的な身体の使い方を習得
もちろんパーソナルトレーニングでもアプローチはできますが、ピラティスを取り入れることで筋トレだけでは解決しにくい悩みにも対応できます。
そして、クライアントからは「このトレーナーは身体を深く理解してくれる」という信頼を得られます。指導の引き出しが増えることで、より多くのクライアントのニーズに応えられる信頼できるトレーナーになれるのです。
② 指名・単価が自然に上がる
ピラティスの知識を持つトレーナーは、単なる “筋トレ指導者” から “身体の専門家” へと進化します。
呼吸の仕方や体幹の使い方、姿勢の整え方など、細かい部分まで見られるようになることで、セッションの質が格段に向上していきます。
実際に知識量も増えていくとセッションの中で、お客様の悩みの原因に対して細かく説明ができるようになります。
私自身ただトレーニングを提供するだけではなく、その場でクライアントのお身体を細かく”評価”して、一つ一つのトレーニングやエクササイズに「なぜそれを行うのか」の意味づけができるようになりました。
そうすることで、セッションに説得力がつき、クライアントの満足度も自然と高くなり「この人じゃないとだめ」と思われる存在になっていくのです。
その結果、指名数が増えたり、リピート率が高まり安定した顧客基盤を築けるだけでなく、単価アップも実現しやすくなります。
また、それ以外にも新規体験者の入会率が大幅に上がります。
私はそれまで50%だった入会率が90%になりました。
そして、クライアントが実感する違いこそが、トレーナーとしての強みとなり、他のトレーナーとの差別化が可能になります。
セッション後に「身体が軽くなった」「呼吸がしやすい」「動きやすくなった」と体感してもらえる、この実感こそが他のトレーナーとの差別化ポイントになります。
価格競争に巻き込まれず、自分自身の価値で選ばれるトレーナーになれるのです。
③ 働き方が広がり、収入源が増える
ピラティスの資格や知識を持つと、活動の場が一気に広がります。
パーソナルトレーニングジムだけでなく、ピラティススタジオ、ヨガスタジオで働くこともできますし、それ以外にも企業向けの健康プログラム、オンラインレッスンなど、複数のプラットフォームで活躍できるようになります。
収入の柱を分散できる
1対1のパーソナルセッションに加えて、少人数グループレッスンやオンラインクラスを組み合わせることで、収入源を分散しながら安定的に働くことが可能になります。
特にピラティスは、姿勢改善や身体の不調解消を求める女性クライアントからの需要が高いため、指導の幅を広げるほど顧客層も自然と拡大します。
安定性と自由度の両立
複数の収入源を持つことで、一つの場所に依存しない働き方が実現できます。
ライフスタイルに合わせて働く時間や場所を選べるようになり、安定した収入と自由な働き方の両方を手に入れることができるのです。
私の“三刀流”エピソード
ピラティス指導経験(半年)× 生徒歴(1年)の実践的な理解
私はパーソナルトレーナーとして活動している中でピラティスに1年間生徒として通い、その後勤めているパーソナルジムで良い機会をいただいて、半年間ピラティスのインストラクターとしてもクライアントと向き合うことになりました。
生徒としてピラティスに取り組む中で、繊細な身体の動かし方を知り、今までよりも丁寧に自分の身体と向き合うことができて、筋トレの効果がより身体に現れた実感がありました。
そしてその体験が、クライアントへのピラティスレッスンで大きく活きることになります。
私が担当したクライアントは普段は筋トレをされている方で、スクワットやデッドリフトのフォームが安定しづらかったり、いつもより負荷をあげると腰に響いてしまうという悩みがある方でした。
そこでピラティスで体幹の使い方を見直したところ、見事にその悩みを解決することができました。
具体的には、スクワットでは20kgがMaxの重量でしたが、体幹が強化されたことでフォームが安定し、35kgをラクラク上げられるようになりました。
何より、クライアント自身が身体の使い方や感覚の違いを実感されたのです。
これは、ピラティスを取り入れたことによる成功体験の一つです。
パーソナルトレーナーとしての4年の経験
パーソナルトレーナーとして、機能解剖学の基礎はあったのでピラティスの知識はすんなり頭に入ってきました。
これまで学んできた身体の知識が、ピラティスの動きと自然につながっていく感覚があり、身体への理解がより立体的になったと感じています。
そして先ほどのエピソードしかり、筋トレとピラティスは良い方向に相互作用するので、結果が出しやすいという実感を持てました。
筋トレで筋力や筋量を高めながら、ピラティスで身体の使い方や動きの質を整える。この2つを組み合わせることで、クライアントの身体は驚くほど変わっていきます。
筋トレだけではアプローチしにくいところをピラティスで丁寧に補い、結果として筋トレの効果をより引き出すということができるようになります。
2つのアプローチを掛け合わせることで、クライアント一人ひとりに最適なトレーニングプランを提供できるようになりました。
ヨガインストラクター(5年 / RYT200)としての動作理解
三刀流インストラクターとしてヨガを4年間指導してきた中で、呼吸と柔軟性、そして「身体の声を聴く力」を育てる重要性を深く学びました。
ヨガでは、ポーズの完成度よりも呼吸と動作のつながりを丁寧に観察することが基本です。
この経験から、クライアントの呼吸の浅さや姿勢のクセを瞬時に見抜けるようになりました。
ピラティスと共通するのは、どちらも体幹の安定を重視し、”内側から整える”という特徴を持つ点です。
一方で、ピラティスが「正確なコントロール」によって身体を教育するのに対し、ヨガは「思考の解放」や「心身の調和」を大切にします。
いわゆるリラックスやリフレッシュなどです。(もちろんピラティスでもリフレッシュや心身の調和などの効果を得ることはできます。)
両者の違いと共通点を理解しているからこそ、クライアントの目的や状態に合わせて指導を柔軟に切り替えることができています。
これは、どちらか一方だけを学んでいては得られなかった強みだと感じています。
つまり…ヨガ × ピラティス × パーソナルトレーニングの掛け合わせは、クライアント満足度が高い“結果の出る指導”につながっているのです。
トレーニングで鍛えて、ピラティスで整え、ヨガで緩める。3つの異なる要素を掛け合わせることでアプローチの幅が広がり、奥行きも深まって満足度が高く、より結果の出るセッションの提供が可能になるのです。
これを見ているあなたも、今持っているスキルとピラティスを組み合わせれば、あなただけの強みが生まれ、新しい道が開けていきます。
FAQ:資格がなくてもピラティスを自信を持って教えられるものなの?
私は社内研修でピラティスを学びました。トレーニングの基礎知識があったのでより解像度が高い状態で知識を得られたと思います。
資格を取ることも大切ですが、安全に・正しく・基礎から指導できる力を養うことが最優先だと私は考えます。
FAQ2:ピラティスを学んだことで、パーソナルトレーナーとしての指導が変わったことはある?
大きく変わりました。実際には筋トレをする前にピラティス要素を含んだエクササイズを取り入れるようになりました。ピラティスによりクライアント自身が身体をコントロールするという感覚を高めることで、トレーニングの効果も実感しやすくなるのです。
まとめ:複合スキルこそ、これからのインストラクターの価値
フィットネス業界は今、一つの専門だけでは生き残りにくい時代になっています。
クライアントが求めるものも「痩せたい」「筋肉をつけたい」だけでなく、「姿勢をよくしたい」「心も身体も整えたい」と、多様化しているからです。
だからこそ、多角的視点からアプローチできる複合スキルが求められています。
ピラティスは動きを根本から整える武器になり、ヨガは呼吸と柔軟性で心身を調整する力を育てます。
それらをトレーニングと組み合わせれば、ただ鍛えるだけでは届かない「身体が変わる実感」を届けられるようになります。
経験を掛け合わせることがあなたの最大の武器であり、これまで積み重ねてきたものは、すでに誰にも真似できない強みになっています。学びの幅を広げることは、キャリアを広げる最高の投資なのです。


