何事も、新しいことを始めるには勇気がいりますよね。
ピラティスインストラクターに興味を持っている方の中には「スポーツ経験はあるけど教える仕事はしたことがないし……」と悩む方も多いのではないでしょうか。
私は実際に未経験の状態からインストラクター業を始めました。そしてスポーツ経験はピラティスインストラクターの武器になると実感しています。
今回は、スポーツ経験者がピラティスインストラクターになるメリットや、身につけるべき力についてお話ししていきます。
未経験からピラティスインストラクターになるなら今がチャンス
まずは私自身の経歴をお話しさせていただきます。
私は現在フリーのピラティスインストラクターとして、複数スタジオで勤務しています。
新卒から8年間、デスクワーク中心の会社員をしていましたが、心機一転フリーインストラクターを志しました。
1年をかけてだんだんと安定した予約を獲得できるようになり、現在の1ヶ月のレッスン数は70件前後になります。
ピラティスインストラクターをしてみたいなと思ったきっかけは、友人とスタジオに体験に行ったことでした。
最初は久しぶりに体を動かすことをただ楽しんでいましたが、ある時「私も教える立場になりたい」という思いが湧いてきたのです。
というのも私自身、学生時代には熱心にクラシックバレエを習っており、インストラクターさんから教えてもらっている動きのコツは、意外と知っていることも多いなと感じていました。
すぐに未経験OKの求人を見つけて研修に参加することができたのですが、今振り返るとちょうど流行りに乗ることができ、ラッキーだったと感じています。
現在も、もともとのフィットネススタジオだけでなく、美容関係の企業も新規事業としてピラティススタジオを運営するなど、まだまだ需要が広がっているように見受けられます。
未経験での受け入れも多く、新規オープンのスタジオに配属となれば、先輩が少ない状態でスムーズなキャリアアップも目指しやすくなります。
インストラクターを始めるならまさに今がチャンスなのではないでしょうか。
どんなスポーツも必ずインストラクター業に生きると感じた、私の1年間の実感について
あたかも最初から教える自信があったかのような書き出しになってしまいましたが、始めた当初は不安も多くありました。
たくさんのトレーニングや、各トレーニングで有効的に鍛えられる部位、身体の不調を整えるために鍛えるべき部位などを知識として勉強していくと、その膨大な数に焦ってしまったのです。
こんなにも多くの専門知識を今から身につけていくのでは、プロとして活動するまでに時間がかかってしまうのでは?と思っていました。
しかし、実際にお客様と接する中で次第に考え方が変わっていきました。
それはやはり、これから頭で覚える知識よりも、これまでのスポーツの実践経験が自分を支えてくれると気づけたからです。
では私がこの1年間に感じた、スポーツ経験者がピラティスインストラクターとして活動するメリットを2点ご紹介します。
①スポーツ経験者はすでに体を動かすコツを知っている
先程記したように、まずインストラクターとしてのキャリアは知識を勉強する段階からスタートするかと思います。
ピラティスの種目を覚えなければなりませんし、そこには専門的な用語が伴うので、初めて扱う言葉に巡り会うたびに、自分が素人であるという焦りが生まれました。
このままではお客様の前に立てないと、インストラクターを始めたての私は思っていたのですが、これは取り越し苦労でした。
というのも、お客様の中にはピラティス以前に、身体を動かすことが久しぶりという方も多くいらっしゃるのです。
お客様は数ある運動の中でもピラティスを選んで来てくださるので、もちろんピラティスの種目をきちんと説明することは必須です。
ではその種目を実際お客様に教える際に、専門的な用語や知識が絶対に必要になるかというとそうではないと私は考えています。
例えば腹筋を鍛える種目を行うとして、その種目の正式名称をお客様に伝える必要はありません。
どういう動きかを言葉なり、インストラクターのお手本なりで説明できればいいわけです。
さらに、もっと腹横筋を動かしてとか、今度は腹直筋を意識してとか、筋肉の名称をたくさん伝えたとしても、久しぶりに腹筋をしてみるお客様にとってはまだ意識できる段階ではないので、それもまた必要ではありません。
プロスポーツ選手に教えたいなどの場合は話は別ですが、一般のお客様を相手にする場合は、名称よりも動きのコツの丁寧な説明が大切だと実感しています。
スポーツを経験しているみなさんは、どうすれば上手に動けるようになるか、コツを試行錯誤をしたことがあると思います。
そんな時に身に付けたのは専門用語ではなく、もっとわかりやすいイメージだったり、例え話だったりするのではないでしょうか。
先ほどの腹筋の例で言えば、「腹横筋を使って」ではなく、「お腹を薄っぺらくするつもりで」や、「おへそに力を入れるように」など、自身の実感を伴った表現が武器になります。
スポーツをしていた皆さんはすでに、こういった語彙がある程度身についていることでしょう。
お客様はピラティスのことを知りたいのではなく、自分の身体を上手に動かすためのコツをあなたから知りたがっているのです。
②自分の得意を売りにする
スポーツでは、競技ごとにより強化すべき部位があったと思います。
私の場合、バレエはデコルテの空いた衣装を着る機会が多く、首からデコルテにかけてのラインを美しくすることを常に心掛けていました。
こういった経験はピラティスでも、首を長くしたいというご要望や、肩こりのお悩みの際に非常に役立っています。
一般的に言われている肩こり解消のエクササイズをよりどこに力を入れて実践すれば効果的か、また、教科書通りのやり方がお客様に合わなかった場合どんなアレンジができるかといった融通が利きやすいので、他のインストラクターと一味違ったレッスンを提供できるのです。
このようにそれぞれのスポーツで身につけたストロングポイントをインストラクターとして売りにすることで、似た悩みを持つ層への需要拡大が見込めることが2つ目のメリットだと考えます。
先ほどのコツの話と共通しますが、お客様はより体を上手に動かせるようになりたいと思っています。
そんな時にあなたから他のインストラクターにはないレッスンが受けられたら、きっとお客様はあなたのレッスンのファンになってくれるでしょう。
スポーツ経験者がピラティスで独立を目指すために必要な3つの力
最後に、スポーツ経験者がピラティスインストラクターとしてお客様により選ばれるための3つの力についてお話しします。
①具体的に体のことを喋れる知識力
先ほどの内容に矛盾するようですが、筋肉の名称を覚えよということではありません。
お客様のご要望に合わせて、どこを鍛えれば悩みが解消できそうか、そこを鍛えるためにはどんなエクササイズが有効かを覚えることが重要です。
専門知識は自分を助けるために覚え、お客様に伝えるときはそれを噛み砕いて、見えない筋肉を想像しやすい表現を身につけることが大切です。
②自分が得意な種目は何か、アピールポイントを作る。
こちらは先ほどの繰り返しになりますが、まずあなたが1番鍛えてきた部位はどこでしょうか。
そしてピラティスの中で、それはどんなエクササイズで鍛えられるでしょうか。
またそれを鍛えることで、お客さんのどんな悩みが解消できそうでしょうか。
整理していくと、自分の強みを見つけられると思います。私が得意なレッスンはこれですと、銘打つことができる種目をぜひ見つけてみてください。
③お客さんと楽しく話すコミュニケーション力。
末筆になりますが、結局私が1番大切だと思っているのがコミュニケーションです。
当然のことのように思われるかと思いますが、意外とレッスンの時間がインストラクターの講義の時間になってしまっていて、お客様からの発言が全くなかったということが起こり得ます。
グループレッスンでは難しいですが、少人数のレッスンではぜひ、お客様の感覚を聞き出す時間を作ることをお勧めします。
意図しないところが力んでしまっていたり、思わぬエラーが見つかるかもしれません。こうして相互に発言があることがお客様との信頼関係につながり、あなたのリピーターが増えていくのです。
ぜひ、あなただけの色を見つけてお客様に慕われるインストラクターを一緒に目指しましょう。


